大切な人への贈り物。相手が喜んでくれるもの、でも、気を遣わせないもの、できればちょっとしたサプライズも……そう考えると、ギフト選びはなかなか難しいものですよね。
今回のZOOM JOURNALでは、雑貨コーディネーターのオモムロニ。さんに、プロが考えるギフト選びのコツや、もらって嬉しかったアイテムについてのお話を伺います。誰かに贈り物をする予定の方は、ぜひ、参考にしてみてください。
贈り物にもさまざまなシチュエーションがあります。例えば、結婚祝いや出産祝いなどの“晴れの日のギフト” に迷ったら、思い切って相手に「何が欲しい?」と聞いてしまうのも手。サプライズよりも相手が本当に欲しいもの、かつ、他の人とかぶらないものを選びたいので、あえてリクエストをしてもらうのもアリだと思います。
反対に、手土産やちょっとしたお祝いなど、もっと日常的な“デイリーギフト”では、「相手が欲しいものをあげる」というセオリーを一旦取っ払って、自分が贈りたいものを贈ることが多いです。相手のことを考えすぎると、あれこれ迷って何が正解かわからなくなってしまうんですよね。それよりむしろ、自分が好きなものを贈る方が、気持ちがストレートに伝わるのではないかと思っています。
必然的に、デイリーギフトは、実際に自分が使って本当に良かったと思えたものを選ぶようにしています。「これ、良かったから使ってみて!」と熱量を持ってプレゼンできれば、その場の会話も広がり、相手も変に気を遣わないと思うんです。それから、ちょっとしたサプライズ。例えば、すごくスタイリッシュなスーツを着ている方が、靴を脱いだときに面白い靴下を履いていたら、なんだかほっこりするじゃないですか(笑)。ギャップや遊び心が好きなので、もちろん相手との関係にもよるんですが……あえてその人の定番やイメージを裏切るような、自分じゃ選ばないような贈りものを選んでも面白いですよね。
入り口はやはり、雑誌やインターネットで探すところから始まります。目に留まったアイテムがあれば、さらに検索を重ねて、それを取り扱うお店のラインナップを調べます。気に入ったアイテムから、リサーチの枝をどんどん広げていくイメージですね。すると、例えば地方のセレクトショップのHPに辿り着いて、自分のアンテナに全く引っかからなかったような商品と出会うこともあったりして。そんなアイテム探しの旅が延々と続いている感じです。
たくさんあるんですけど……。昔、就職試験に失敗してひどく落ち込んで、家にこもっていた時期があったんです。そのときに、友人が、長編漫画の1巻と2巻だけをプレゼントしてくれたのが印象的でした。すごく前向きなストーリーで励まされましたし、何より続きが気になって、本屋に行くために久しぶりに外出できました(笑)。
心のこもったギフトは、人をつなぐコミュニケーションツールでもあるなと感じています。先ほどお話した「自分が使って本当に良かったと思えたもの」も会話の種になりますし、例えば、相手が同郷の方なら、地元にちなんだものをプレゼントすれば、話のフックになりますよね。漫画もそうで、読んだ後に感想で盛り上がれるところがポイント。全巻ではなく、最初の数巻だけっていうカジュアルさも丁度いい。贈って終わり、ではなく、その後の相手とのつながりを大切にしていくためにも、そこから生まれる会話もイメージしてギフトを選んでみてはいかがでしょうか。
オモムロニ。さん、ステキなお話をありがとうございました。
次回は引き続きオモムロニ。さんに、ギフトとしてのZOOMの魅力を語っていただきます。
Direction:MOSH books
Writer:荒井奈央
Photo:山本一維
雑貨コーディネーター、東京生まれ。雑誌やWEBでの執筆、雑貨やギフトなどのセレクトやコーディネートなど活動は多岐にわたる。雑誌『LaLa Begin』『&Premium』で連載中。2019年には初の著書となる『DAILY GIFT BOOK 気持ちが伝わる贈りものアイデア』(文藝春秋)を上梓。
Instagram@omomuroni