大人の知性と個性を際立たせるイメージを目指して

インタビュー

2023.2.23

――ZOOMのグラフィックデザインについて教えてください

ZOOMのリブランディングを行うにあたって重要視したのが製品そのもののデザインばかりでなくパッケージやコミュニケーションツールなどすべてにおいて一貫した世界観を構築することでしたそのときにコンセプトにしたのはやはり1本の美学であり型にはまらない自由さと凛とした日本の美意識ですそして大人の知性と個性を際立たせるイメージを目指してグラフィックデザインを行いました

グラフィックデザイナー金井知広氏

――ZOOMのロゴマークについて教えてください

ロゴマークを作る上で最初に考えたのはZOOMというロゴタイプのみで構成するのではなくシンボルマークを新たに設けることでしたもちろんロゴタイプだけでもシンプルでスタイリッシュなものは作れますがより強く印象づけるにはシンボルマークが必要だと考えたのです

シンボルマークはZからインスパイアされる六角形をモチーフにした形状になっていますが古くから日本の伝統模様で用いられている六角形を使いつつ一筆書きで線を閉じないデザインにしZOOMが持つ日本の美意識と型にはまらない自由さが表現されています

――ZOOMのブランドカラーについて教えてください

ZOOMには2色のブランドカラーがありそれがZOOMダークグレーとZOOMライトグレーですブランドカラーを決めるときまず始めたのが洗練されつつZOOMらしい色味を探すことでしたその中で日本の伝統色にもある藍鼠(あいねず)という色に着目しました日本の美意識を持ちながらかつ少し藍色が混じることで都会的な洗練された印象もあるそこからヒントを得てこの2色に決まりました

理想のカラーを見つけるまで
様々なカラーをロゴと組み合わせて試行錯誤していた

――パッケージについてこだわった部分はありますか?

パッケージを作る上で大事にしたのは商品を購入し開封するときのワクワク感をいかに演出できるかということでしたそこでシンプルな四角い箱ではなく三角形という特徴的な形状にしさらにスリーブをつけて開封するまでの所作を一つ増やすことでよりペンを目にしたときの高揚感が増すのではないかと考えたのですもちろんパッケージデザインの役割は製品の魅力を際立たせることが最も大事ですがZOOMのパッケージにはそれだけではない付加価値がつけられたと思っています

ペンをパッケージから取り出す一連の所作にも洗練されたこだわりを感じる

――パッケージの中に試筆用の紙を入れたのはどのような思いからですか?

ペンを開封したとききっと多くの人は試しに書いてみたくなると思うんですそのとき手元に紙がなかったりあったとしても何かの裏紙だったりするよりはきちんとした試筆用の紙の方が気持ちよく書いていただけるのではないかと考えましたまた試筆用の紙にはZOOMで書く最初の一文字を特別な体験にして欲しいという願いも試筆用の紙に込められています

パッケージの中には試筆用の紙が同梱されているため
すぐに書き心地を試すことができる

――そのほかグラフィックデザインで大切にしていることはありますか?

パッケージに限らず紙袋や各店頭におけるディスプレイまたカタログやミニマガジンといったコミュニケーションツールなどすべてにおいて制約を設けたり一貫性を持たせることです例えば媒体によって色の見え方が変化してしまうという難しさもあるのですがそこもきちんと管理しお客様が受ける印象がブレることのないように心がけていますそしてさまざまな場所でZOOMのグラフィックデザインを目にして覚えていただけるようにしたいと考えています

ギフトパッケージは2色展開

専用のラッピング用紙とショッパーの統一感もポイント

――最後にお客様にメッセージをお願いします

ペンのデザインや書き心地ばかりでなくパッケージも含めた世界観を楽しんでいただきたいと願っていますまたパッケージデザインを考えるときに大事にしたワクワク感は自分で購入した商品を開けるときだけでなく大切な人にプレゼントを贈る際にも欠かせないものだと思いますその点においてもZOOMのパッケージはギフト用の包装として十分な役割を果たすと思いますので自分用としてだけでなくギフト用としてもぜひZOOMを選んでいただけたら幸いです

Direction:MOSH books
Writer:前田和之
Photo:木村文平