アパレルブランド「BEAMS」でプレスを担当し、インスタのフォロワー数が6万人超えという人気を集める目黒越子さん。多くの人を魅了する理由は、潔いほどに確立されたご自身のスタイルにありました。洋服のみならず、ライフスタイルに「自分らしさ」を取り入れることの心地よさについてお伺いします。
20代の頃は、柄物を着たり金髪にしたりと、色々なファッションにチャレンジしていました。でも、歳を重ねて社会的な立ち位置が変化していくに伴い、自分の好みにも変化が生まれて「信頼されたい」「頼りにしてほしい」と思うほど、よりシンプルなアイテムに惹かれるようになりました。また、私が担当していたのが大人の方向けのブランドだったので、接客する際に、自分自身もシックな雰囲気の洋服を身につけている方が、お互いに落ち着いてお話できるなという感覚もありました。
逆に私は「目黒といえばこれ」と思ってほしいので、あえてこのスタイルを貫いている部分もあるかもしれません。お団子ヘアも、15年間変わっていないんですよ(笑)。
ただ、同じフォーマットでも、自分のなかでディテールの差はあります。同じアースカラーを着ていても、素材やシルエットが違ったり、アクセサリーやリップの色に変化をつけたり。お団子ヘアは変わらないけど、日によって高さを変えてみたり、後れ毛をつくったり、つくらなかったり。パッと見はわからないくらいのトライアルかもしれませんが、その微差が「古くならない」アップデート方法になっています。
とはいえ、ふとした瞬間に「ボブにしたい!」と思うこともありますね(笑)。もっと歳を重ねたら、シルバーヘアのミニボブに、真っ赤なお洋服を合わせるのもステキかも……と妄想することもあります。今はシンプルなこのスタイルが好きだけど、5年後、10年後は好みが変化するかもしれない。そういう意味では、今のフォーマットに捉われ過ぎず、自分のそのときの感性に従う柔軟性は忘れずにいたいです。
特に女性は、ファッションやヘアメイクにどこかしっくりいかないところがあると、1日中気持ちがそわそわしてしまうという人もいらっしゃると思うんです。でも、「これが自分のスタイルなんだ」という軸があると、自信を持って振舞える気がします。例えば人に会ったときも、緊張し過ぎずに、自然体で接することができる。コミュニケーションや立ち振る舞いに自然体の心地よさを感じられる人は、その人なりの「スタイル」を持っている人なのではないでしょうか。
加えて、自分のスタイルがあれば、毎日のコーディネートがグッとラクになります。特に私はアパレル業界に勤めているので、昔は毎日違うスタイリングを心掛けていたのですが、なかなかに大変で。「自分はコレだ」という正解を見つけたら、毎日モノトーンを着たとしても、それを自分で認めてあげられるようになりました。そうした意識の積み重ねが、結果的に、今の“私らしさ”に繋がっている気がします。
Direction:MOSH books
Writer:荒井奈央
Photo:片岡 祥
目黒越子
1983年生まれ。2005年「デミルクス ビームス 新宿」スタッフとして入社。ショップスタッフ時代には『ベスト販売員名誉表彰者』に選出。スーパーバイザーを経て、2020年よりプレスに。現在、デミルクス ビームス ディレクター。Instagramはフォロワー6.8万人、自身が制作に関わるコレクションや着用アイテムへの反響も大。休日は大好きなワインと共に葉山でのライフスタイルを愉しむ。2023年には初の著書となる『Meguro’s SIMPLE STYLE MEMO』を出版。
Instagram@meguro_etsuko