普遍的な存在感のある、花というギフト。今あらためて、その魅力について考えてみませんか。
今回訪れたのは、印象的なブーケが目を引くフラワーショップ「(e)vol(イーボル)」。個性豊かな花々に彩られた美しい空間で、店主の福田まりよさんに、ギフトとしての花の魅力について伺います。
作り手として感じる花の魅力は、いろんなシーンに立ち会えることです。プロポーズや結婚式、子どもの誕生日、大切な人の命日。お店にいらっしゃるお客様の忘れがたい瞬間に、間接的にではありますが、花を通して立ち会えることが、私にとっては一番の魅力です。
e)vol、福田まりよさん
小売りを中心にした「(e)vol」をオープンさせたのは、3年前のこと。それまでは、小さなアトリエを構えて、空間装飾をメインで活動していました。アパレルショップやイベント会場などにディスプレイする、装飾物としての花をデザインするんです。花やグリーンがあるだけで、空間の雰囲気はガラリと変わるもの。そういう意味では、ギフトとして誰かに花を贈る瞬間は、その場がいっそう高揚感に満ちた雰囲気になります。これもまた、花の魅力の一つなのではないでしょうか。
去年の母の日に、小学生くらいの姉妹がお店に来たんです。お母さんにプレゼントするお花を買いに来たようなんですが、ずーっとケンカしていて(笑)。基本的にお姉ちゃんが主導権を握っていて、妹が「このお花がいい」って言うのを全部「ダメ」って言うんですよね(笑)。それでも何とか2人で折り合いをつけて、小さなブーケを買って嬉しそうに帰っていったのが印象的でした。
また、これも母の日のこと。小学生くらいの男の子が、自転車に乗りながら、お店の前をずっとウロウロしてるんです。花を買いに来たんだけど、どうやら恥ずかしくて、一人で入店できない様子。最後には店に入ってきて、無事にお花を買っていったんですが、自転車で何度も店の前を往復している姿がかわいくて忘れられません。
もらう人はもちろんのこと、贈る側の人にも喜んでもらうことです。ギフト用となると、もらう人の方にフォーカスが当てられがちですが、贈る人にこそ、さまざまな思いとストーリーがあるんですよね。作り手としては、そこにいかにアプローチできるかが重要だと思っていて。細かいテクニックも必要ですが、まずは、贈る人が喜んでもらえるようなブーケをつくることを意識しています。
それから、どこかに「(e)vol」らしさを取り入れること。うちのお店は駅から結構歩くのですが、「(e)vol」のテイストが好きで、わざわざ足を運んでいただいているお客様も多いんです。例えば、他のお店にはない珍しい花を取り入れたり、草花をアクセントに加えたりして、ここでしか出会えないギフトを提供したいなと思っています。
私は全く気にしていません(笑)。例えば、今、洋菊がすごく流行っているんですよ。パッと見はダリアと見間違えるくらいの華やかさで、いろいろなシーンに映える花です。また、先日、仏花を買いに年配のお客様がいらっしゃったんです。その方は、夏場の仏花はすぐダメになるからと言って、ドライフラワーを買って行かれました。そういう意味では、うちにいらっしゃるお客様も、気にされる方は少ないかもしれません。
今は、毎年たくさんの新しい種類の花々が出ています。堅苦しいマナーはあまり気にせず、感性の赴くままに、個性豊かな花との出会いを自由に楽しんでいただきたいですね。
福田まりよさん、ステキなお話をありがとうございました。
次回は引き続き福田さんに、ギフトとしてのZOOMの魅力を語っていただきます。
Direction:MOSH books
Writer:荒井奈央
Photo:片岡 祥
(e)vol
〒153-0064
東京都目黒区下目黒4-10-29 東洋マンション1F
営業時間:11:00〜19:00
定休日:火曜日、水曜日
HP:http://www.e-v-o-l.com
SNS:
Instagram
Flowerworks @mariyo_fukuda_evol
Shop @evol.flowers