目指したのはデザインの再現とこだわりぬいた品質設計

インタビュー

2023.4.13

新たにデザインされたZOOMを開発者のお二人はどのように設計していったのでしょうか今だからお話できる当時の苦労話や開発秘話を開発者河野壮人氏と野田洋平氏にお聞きしました。

――まずお二人は新生ZOOMにおいてどのような作業を担当されたのでしょうか?

河野
簡単に言ってしまえばデザイナーが作成した紙のスケッチやデザイン図を製品として実現させることになりますが実現化するにあたってどのような材料を使いどのような部品構成にするかなどコストや製造方法まで含めて多方面で考え製品化することが私たち開発部の仕事です実は最初に新生ZOOMの話を聞いたときそこまで大きなプロジェクトだとは知らず私一人が開発担当の予定でしたが詳しく聞いてみると3種5製品ということで私がC1とL1を担当しL2を野田さんに担当してもらいました。

開発者河野壮人氏

野田 
もともと私はマーカーの開発を行なっていて今回初めてボールペンやシャープペンシルの開発に携わりましたですから最初に話を聞いたときは面白そうと思ったものの実際に進めていく中で大変なことも多く苦労しながらそれでもやりがいを感じながら開発を進めてきました

河野 
想像以上に壮大なプロジェクトでしたからねプロジェクトについて具体的に話を聞くにつれてこだわりがひしひしと伝わってきてプレッシャーもありました

開発者野田洋平氏

――どのようなところにこだわりを感じたのですか?

河野 
コンセプトやポリシーなど世界観が出来上がっていましたからね開発担当としてその世界観をきちんと実現しなければいけないと思ったんです

野田
最初にZOOM製品の説明を受けたとき素材へのこだわりや新しいことに挑戦したいというコンセプトを聞き挑戦しがいのあるプロジェクトだと思ったと同時に実現するというところにプレッシャーを感じました

河野
もともとあったZOOMというブランドをリブランディングするわけですからそれに日本発のコンテンポラリーデザインペンということでプロジェクトを説明するデザイナーの声にいつもよりも大きな情熱を感じました

――初めて新生ZOOMのデザインを見たときの印象は?

野田
私はL2を担当したのですが最初に見たときの印象はスタイリッシュなペンという感じでしたでも一つ一つのパーツが小さく局所的に細い箇所もあり開発者としては強度面の心配がありました。

河野
ユーザー目線と開発者目線では見方が違うので私もC1のノック部分が浮いているデザインを最初に見たとき本当にこれをやるの?って思ったんですもちろんデザインとしてはかっこいいと思ったのですが同時にすごく難しそうというのが第一印象ですね

野田
C1のノック部分はびっくりしましたよね冗談半分で間に透明の部品が入っているんじゃないかとか言ったり。

河野
開発者としては難しいものづくりになるなと思いましたねL1に関してはそこまで特徴的なデザインではないのですがよく見ると難しい部分がたくさんあり微妙に波を打っているキャップやクリップ構造や透明軸などやはり一筋縄ではいかないと思いました

――お二人とも第一印象で難しそうと感じたということですが実際に設計するにあたって特に意識したことはありますか?

河野
このデザインをできるだけ忠実に再現したいという思いはありました細部にまで非常にこだわってデザインされていましたしどこか一つ崩れると全体のバランスが崩れてしまうので一つ一つのパーツを調整しながら全体のバランスを見てデザイナーやプロジェクトメンバーとは何度もすり合わせを行いながら設計していきました

野田
私も同じでやはり日本発のコンテンポラリーデザインペンということでデザインを再現することを第一に考えました技術的に難しいところがあってもデザインを変更して開発しやすくするのではなく何度も検討を重ねて今までよりも一歩踏み込んだ設計をすることができこの仕上がりが実現できたのではないかと思っています

河野
ただコンテンポラリーデザインペンといっても決して尖りすぎているデザインではないんですよね全体的にまとまりがありますし開発者としては使い心地にもこだわりたいという思いがありました例えばC1ならノック部分が特徴的ですがデザインだけでなく空白をノックするような特別感のある感触にこだわったりL1ならキャップの開け閉めの感触に心地よさを感じるように試作や検証を重ねて設計しています

野田
L2は触り心地のよさを特徴にしているのですがそれを実現させるために塗料にもすごくこだわっています何種類もの塗料を比較検討しかなりの時間と労力をかけて選定しました

河野
正直に言うとデザインや品質を妥協して作りやすくしようとすればいくらでも作りやすくできると思うんですでもやっぱり新生ZOOMに関しては生半可なものを世に出しても受け入れられないという意識があったので設計の落しどころをかなり高い位置に設定しこだわり抜いて作りましたですから自分の中では非常に完成度の高い仕上がりになったと思っています

――最後にお客様にメッセージをお願いします

河野
今回新生ZOOMということで3種5製品が出ていますがどれもかなりこだわりを詰め込んだ製品になっています開発部の我々もお客様にそのこだわりが伝わるように設計しましたのでデザインだけでなく書き味やノック感キャップの開け閉めといった機能面も実際にご使用いただきながらこだわりを感じていただければと思います

野田
すべての製品に関して私たちも非常に満足のいく仕上がりになっていますのでぜひお手にとっていただきどれが自分に合ったものか使いやすく感じるかを選ぶところから楽しんでいただきたいですそして大事に扱っていただけるのももちろんありがたいことですがやはり使ってこそのペンですので日常的に使っていただけたら嬉しいです。

河野さん野田さんZOOM開発秘話お話いただきありがとうございました
次回は河野さんにディープな設計のお話を伺います。

Direction:MOSH books
Writer:前田和之
Photo:片岡祥