――2025年11月、ZOOM L1は既存のフルブラックに、新色5色を加えた全6色ラインナップにリニューアルしました。まずは新色を導入することになったきっかけから教えてください。
ZOOMは、2023年2月に幅広い世代の方々に愛されるべくリブランディングを行い、その中でZOOM L1は時代を問わず普遍的に好まれる3色(シルバー、フルブラック、グラファイトブルー)と、最先端の流行色を取り入れた3色(マットブルー、マットブラウン、マットグレー)を展開しました。そして、発売後の販売状況を分析したところ、ZOOM L1の購入層である大半が、前者の3色の方を好まれていると分かりました。そこで落ち着いた色を好むような、大人に向けた色展開に変更しようと考えたのがきっかけです。
――新しい色展開で、改めてZOOM L1をどう訴求していきたいと思われたのですか?
今回、ZOOM L1の魅力を考え直し、キャップ式であることや軸が太いこと、軸の二重構造、油性ではなく水性ゲルインクを採用しているなど、ボールペンの中でもかなり個性的な部分が多いと思いました。
そしてZOOM JOURNALでも数々のクリエイターがZOOM L1のデザインの魅力について言及してくださっていることもあり、ユーザーの方々のクリエイティブな活動を支える筆記具にしたい、より個性的な自己表現を後押しする1本にしたいと思い、新色デザインでZOOM L1の個性を強化しようと考えました。
――新色の開発はどのように進んでいったのですか?
最初は、キャップなど外側の色を変えるアプローチを考えていました。でもそれだと、今までのカラーバリエーションの延長線上に過ぎず、個性を強化したとは言えません。どうすればよいか悩んでいましたが、ある日デザイナーが「軸の外側ではなく、中の色を変えてみるのはどうでしょう?」と提案してくれて、そこからリニューアルに向けて視野が広がり、人気の3色の中からブラックとシルバーのラインを拡充することにしました。
――中の色を変えるとは、どういうことですか?
ZOOM L1は、軸が二重構造になっており、外軸はデュラビオという植物由来原料のエンジニアリングプラスチックで、中軸としてアルミを蒸着させたパイプを入れているんです。この構造のために光の当たり方で軸の見え方が変わり、それが「透明と不透明の往復」というコンセプトにつながっています。今回は、このパイプの色を変えることにチャレンジしました。
――外側ではなく、中に入っているパイプの色を変えるのは発想の転換ですね。そこからどう進めたのですか?
まずはCGでさまざまな色の組み合わせを見ていき、次に色をシールプリントしてパイプに貼り付け、外軸と組み合わせたときの色の見え方を検証しました。そしてある程度色を決めた段階で、実際の加工で試作品をつくってもらったのですが、アルミという素材の特性のため、想定していた以上に輝度が高かったですね。でもそれが功を奏しました。私たちが試作したものよりも光を反射し、マットな外軸と組み合わせたときに、適度に全体の輝度感が抑えられた落ち着きを見せながらも、光が当たったところだけ透明の重なりの奥からキラッと輝きが現れるような個性的な仕上がりになりました。
ブラックのラインはフルブラックと、少し霞がかったように見えるスモークブルー、スモークグリーン、スモークカッパーの4色です。軸が先端にいくにつれて細くなるため、場所によって中軸の色の見え方が変わり、透明と不透明のグラデーションを今まで以上に楽しむことができます。
シルバーのラインは中軸の色がよりはっきり見えるアーバンシルバーとフロストブルーの2色で、中軸は淡い色にしており、より色の調和を楽しむことができます。
――最後に、新しくなったZOOM L1の魅力を改めてユーザーの方々にお伝えください。
ZOOM L1は「透明と不透明の往復」をコンセプトとしており、今回、軸の外側ではなく、中の色を変えることで、このコンセプトをより際立たせることができたと考えています。ユーザーの皆さまには、この二重構造による色の見え方の変化を楽しみながら、文章を書いたり、絵を描いたり、ご自身の創作活動に役立ててほしいと願っています。
また、ZOOM L1はキャップ式なので、使用する前にキャップを外す必要があります。ノック式と違い、書くまでにひと手間がかかるんです。でも私たちはこの時間が「文章を書いたり、絵を描いたりするときの、心のスイッチにもなる」と考えています。作業をするための道具としてだけではなく、創造をするための道具として、新しくなったZOOM L1を活用してもらえると嬉しく思います。
Direction:CREEK & RIVER
Writer:島尻明典
Photo:TESOO KANG
ZOOM L1